内倉憲一 ニュースレター Vol. 354 アウトソーシングのパラドックス
2025-09-10
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アウトソーシングのパラドックス
 

毎週のように、世界中の会社から同じ内容のメッセージが届きます。
「開発をアウトソーシングしませんか?」

私の答えはいつも同じです。
「私たちは開発をアウトソーシングしません。」

その代わりに、こう伝えます。
「もし完成された製品があるなら、それを見せてください。場合によってはソースコード付きで購入することも検討します。」

とてもシンプルな話ですよね?ひとつの方向には「NO」と伝え、もうひとつの方向には「YESの可能性」がある。ところが、ほとんどの場合、相手から返ってくる答えはこうです。
「どんな製品が必要ですか?」

そして結局、私はまた同じことを繰り返すのです。
「私たちは開発をアウトソーシングしません。」

聞いていない相手との会話
これはまるで、人の話を聞いていない相手との会話のようです。こちらが何を言っても、相手はただ自分の言いたいことを押し込もうとしているだけ。

私は「製品があれば評価する」とチャンスを与えているのに、それが耳に入っていない。そこにあるのは「聞いていない」という姿勢です。

自分の箱から出られない
多くのアウトソーシング会社は、製品を持っていません。サービスしかないのです。それ自体は悪いことではありませんが、私が「サービスはいらない」と言った瞬間に彼らは迷子になります。

正直に「製品は持っていません」と言えばいいのに、代わりに「どんな製品が必要ですか?」と返してくるので、結局またアウトソーシングの話に戻ってしまいます。

自分たちの「営業の箱」から一歩も出られないのです。

なぜパラドックスなのか
だからこそ、これはパラドックスです。私は「製品を見せてくれれば購入するかもしれない」と前向きな道を示しているのに、彼らはそれを受け入れない。なぜなら、それは彼らのシナリオにないからです。結果的に、自分たちで自分のチャンスを閉ざしてしまうのです。

まさに「持っているのがハンマーだけなら、すべてが釘に見える」という話です。売るものがアウトソーシングしかないから、すべての見込み客を「アウトソーシングを必要としている人」として扱ってしまう。そして、そこに当てはまらない人に出会ったとき、本当のチャンスを見逃してしまうのです。

学び
この経験から学べることは明確です。自分の作った箱に閉じこもってしまえば、目の前のビジネスチャンスを逃してしまう。大切なのは「聞くこと」と「柔軟であること」です。お客様が新しい道を示してくれたら、それが自分の想定外であっても、そこに歩み出せるかどうかが勝負になります。

 
 





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