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想定外の使い方が生む、本当のイノベーション
多くの製品は、特定の目的のために設計されます。
しかし、歴史を振り返ると興味深い事実があります。本当のイノベーションは、設計者の想定外の使い方から生まれることが多いのです。
有名な例があります。
米軍では、コンドームが銃の銃身を砂や埃から守るために使われたことがあると言われています。本来はまったく別の用途の製品ですが、伸縮性、防水性、軽量性という特性が、過酷な戦場環境で役立ったのです。
これは単なる面白い話ではありません。ここには、ビジネスにとって非常に重要な示唆があります。人は、製品を「説明書通り」には使いません。必要があれば、目的を超えて使います。そしてその瞬間に、製品の本当の価値が見えてきます。
例えば、ガムテープ(ダクトテープ)。
もともとは軍事用途で開発されましたが、現在では家庭での簡単な修理、車の応急処置、建築、さらには宇宙開発にまで使われています。NASAの宇宙飛行士が、トラブル解決のためにダクトテープを使った話は有名です。
重曹も同じです。
料理のために作られたものが、掃除、消臭、歯磨き、医療、さらには消火にまで使われています。これらはマーケティング戦略ではなく、人間の創造性が生んだ使い方です。
ビジネスの視点で見ると、ここが最も重要です。
顧客が製品を想定外の方法で使っているとき、それは「誤った使い方」ではありません。それは、企業へのメッセージです。「あなたの製品には、まだ見えていない価値がある」というサインなのです。
実際、多くの成功企業は、こうした想定外の使い方から新しい市場を発見しました。
- Post-itは、強力な接着剤を作ろうとした失敗から生まれました。
- Slackは、ゲーム開発のための社内ツールから誕生しました。
つまり、イノベーションは、設計図の外側から始まるのです。
経営者や開発者にとっての教訓は明確です。 「この製品は何のために作ったのか」だけを考えるのではなく、「人々は実際にどう使っているのか」を見るべきです。 もしかすると、あなたが本当に作った価値ある製品は、あなた自身が想定していなかったものかもしれません。
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